Wednesday 18 April 2012

「低レベルの放射線は無害である」ことは現実的に証明出来ません。


「低レベルの放射線が有害であるという証拠は見つからない」と専門家が言うのに、まだ危険があるのではないかと疑っている人々を「科学的な考え方ができてない」と批判する意見をインターネットで見かけては、「大丈夫かなあ」と思う日々です。例えば
瓦礫の問題はお化けと同じ。「科学的には無害でも、住民の不安が無視できない」というのは「お化けは存在しないが、お化けを恐がる住民もいる」というようなもの (https://twitter.com/#!/ikedanob/status/189534415658024961)
しかし、そういう批判の方が科学的ではありません。これは統計学で第二種の過ちと言われる問題です。

「低レベルの放射線が有害であるという証拠は見つからない」と「低レベルの放射線は無害である」はもちろん違うことです。前者は、放射線の研究をやったことのない僕が発言しても正しい文章です。では、僕の発言から「低レベルの放射線は無害である」という結論をどのくらいの信頼度で導けるか。それは0%です。

専門家は何らかの調査をした上で「証拠は見つからない」と発言しているので、そこから「無害である」という結論は0%以上の信頼度を担保できそうです。しかし、具体的に何%かというのは、理論上求められない数値です。果たして5%しか信頼できないのか、95%信頼出来るのかわかりません。なぜなら、その専門家がどれほど真剣に調査したかというのは数値化できませんので。また、今はまだ顕在化していない危険性が将来見つかる可能性もあります

信頼度を客観的に図る方法がない以上、我々が「無害である」か否かをと判断する基準は、調査をした専門家の人柄(例えばどれほど誠実か、どれほど調査結果に自信を持っているか)を見るしかないですね。つまり、判断は信じる・信じないという主観的なものにならざるを得ないのです。